レオパレス21施工不備問題について思う事。株価は?倒産は?
どーも、ぱらでぃんです。
本日は私も携わっている不動産業界の話です。
連日テレビや新聞、ネットニュースで取り上げられているレオパレス21の施工不備問題についてです。
昨年春と今回2月5日の「ガイアの夜明け」で特集されたらしいですね。
残念ながら今回私は見逃してしまったのですが、前回の昨年春の放送は見ていました。
今回の放送は見逃しましたが、その後のニュースで大体の概要は掴めましたのでちょっと語ってみたいと思います。
1サブリース問題
現在では他社でもけっこう取り扱われているようですが、このサブリースはレオパレスが先駆け的存在ではないでしょうか。
地主にアパート建築を持ち掛け、建てさせたアパートを丸々一括でレオパレスが借り上げ。
そしてレオパレスが貸主となり部屋の募集を行い入居させる。
地主に対しては入居率にかかわらず一定の家賃保証をしているらしいので、空室リスクはレオパレスが負う事になります。
大抵は空室リスクを補填するために建築費が割高になっていますが、リーマンショック以前はレオパレスはこの余剰を空室補償にあてるストックとしてはいなかったようです。
また、将来の空室に備える引当金(いわゆる貯え)もリーマン前は無かったようです。
そのため、リーマンショックによる需要減退で一気に苦しくなりました。
その後、賃貸主体によるストックビジネスへの転換を図り見事に業績回復したようです。
しかし、今回の施工不備問題で再び入居率の低下は必至です。
数年単位で引きずれば地主への支払い家賃がパンクする事は間違い無く、再度の家賃減額によるトラブルや最悪支払いが滞るといった事態も懸念されそうです。
2界壁不備問題
こちらは、昨年春のガイアの夜明けで特集され問題になりました。
共同住宅の各戸の界壁は天井裏や屋根裏(小屋裏)に達していなければならない。
建築士でもなんでもない私でも知っていました。
宅建試験やマンション管理士試験などでも基本なので繰り返し出題されていた気がします。
そのくらい建築基準法の中でも基本中の基本です。
今回の特集ではその補修作業が全く進んでいないという事だったらしいです。
その事実を隠蔽していたのか、虚偽申告していたのかよく分かりませんが、それ自体は悪い事だと思います。当たり前ですが・・・
ただ、冷静に考えれば補修工事がそんなにサクサク進む訳がないんです。
だって全国に何万棟もあるアパートで、入居率が9割くらい(?)ですよね。
当然ですが入居者さん一人一人に事情もありますし、住んでいる部屋の壁ぶち抜く訳に行きませんからね。
時間がかかって当然な気はします。
3そして今回の建築基準法違反
これまた一部のアパートで使用した部材が建築確認申請と異なる仕様で、耐火性や遮音性が基準を満たしていないとの事です。
33都道府県で1324棟との発表ですが、はたしてこれで終わりなんでしょうか?
今後まだまだ出てくる可能性も否定できないような気がします。
4株価はどうなるか?
株式会社レオパレス21(証券CD8848)
一応投資ブログなので株価について触れてみます。
私はこの銘柄、保有したことはありませんが、今回の不備発覚前は株価500円くらいだったようです。
先週末から、3営業日連続のストップ安で2月14日の終値は225円ですね。
このタイミングで買う人はなかなかいないと思いますのでまだまだ下がるのではないかという見方が強いです。
同社が上場した頃は株価5000円くらいまで上昇していたようですが、リーマンショック後には一時的に100円を割っています。
再建して盛り返し、昨年春の界壁問題の報道前には1000円近くまで上がってきていました。
今回もこのまま100円台まで下げてしまう可能性は十分ありそうですね。
※2019年7月15日追記
2019年3月期の決算を見て、気になった点を付け加えておきます。
まず、界壁問題等に関する修繕費として約500億円が計上されていました。
界壁不備の問題を皮切りに他にも続々と不備の報告が上がっているようですが、未だに調査中の物件もあるようなので具体的な数は不明です。
しかし、仮に不備物件が1万棟あったとして、1物件当たりの修繕費は単純計算で500万円です。
物件毎に不備の多寡はあると思いますが、ちょっと少ない気がしますし見通しが甘いのではないでしょうか。
若しくは、とりあえず数字上良く見せるために過少に見積って後で追加するつもりという、まさかのいわゆる確信犯なのか。
下方修正というのは当然イメージが悪く、株価にも多大な影響を与えるので普通は避けたいものですが、このレオパレス、後先考えていない可能性は十分あります。
次に流動資産と流動負債の関係です。
簡単に説明しますと・・・
流動資産とは、1年以内に現金化出来る資産の事。
流動負債とは、1年以内に返済しなければならない負債です。
決算書によると、流動資産約1100億円に対し、流動負債は約1400億円となっています。
つまり、今期(2020年3月期)このままいけば、ざっくりした単純計算ですが約300億円がショートします。
今期1年間は何が何でもこの300億円を稼ぎ出すための策を講じてくると思われます。
また追い詰められて無茶しなければいいんですけどね・・・
無茶とは何かって?
そりゃ、違法物件で荒稼ぎしたり、顧客を騙したり、地主を脅迫して解約や家賃減額して裁判沙汰になったりする事ですよ。
5倒産の可能性は?
一部ネット上では倒産なんてワードも出てきています。
しかし、個人的には現時点ではその可能性は低いと思っています。
比較として前回経営状態が著しく落ち込んだリーマンショック後との違いですが、まずキャッシュに余裕があります。
今回の特別損失は痛手だと思いますが、今は数年持ちこたえるだけの資金を有しているようです。
さらに、リーマンショックを機に建築請負主体のフロービジネスから賃貸主体のストックビジネスへの転換に成功しており、経営基盤は比較的安定しています。
逆に懸念事項といいますか、リーマンショック後との違いの悪い要素の方もあります。
リーマンショックの時は経済全体が落ち込み、レオパレスの賃貸シェアの約半数を占める法人需要が著しく減退した事による入居率低下がありました。
その後、もちろん同社も数々の対策を講じてきたんでしょうが、業績、入居率などは経済情勢の改善と共に回復してきました。
それに引き換え今回は同社が単独で信頼を著しく失っている点です。
これは一朝一夕で回復するものではないので、長く引きずる可能性は十分あります。
100歩譲って法人はある程度使い続けてくれるかも知れません。
しかし広瀬すずさんのCMなど見ていると、学生も多数利用されているのかなと思います。
違法建築で延焼の危険があるアパートに、かわいい我が子の一人暮らしを任せる親がはたしているでしょうか?
その他にも、個人で部屋探ししている人も敢えてレオパレスを選ぶ必要が無ければ当然敬遠されてくると思います。
6まとめ
昨年、そして今回と同社の記者会見など見ている限りでは、上層部や企業の体質に問題があるのは明白だと思います。
とにかく、問題個所の早急な修繕を行い入居している方々の安全な生活を確保して頂きたいですね。